みなさんは、これからの人生100年時代を生き抜くためには何が必要だと思いますか。継続的なスキルアップやライフステージが変わるときの長期休養などでしょうか。もちろん、それらも必要なのですが、私は健康を維持することが最も大切であろうと考えています。
平均寿命と健康寿命(健康で日常生活を送ることができる期間)の推移グラフをみてください(下図参照、厚生労働白書令和4年版)。この図からは、どちらの寿命も毎年、伸びていることがわかります。また平均寿命と健康寿命は男女ともに10年程度の乖離があることが見て取れます。健康寿命を伸ばさなければ、80歳あるいはそれ以上の年齢まで元気で働くことは事実上不可能でしょう。
健康寿命を伸ばすためには、社会生活から発生する様々なストレスをうまくコントロールすることが求められます。例えば、ストレスとがんの因果関係について明確なエビデンスはないのですが、ストレスはがんの有力な原因の一つとされています。またストレスは体の免疫力を低下させますので、がんだけでなく、いろいろな病気の発症につながるリスクが高まることになります。
そうなるとみなさんも若いうちから、脱ストレスを意識した生活を送る必要があります。ストレスの発生や解消につながっているのは、「脳」「睡眠」「運動」「食事」の4大要素といわれています。つまり、ストレスコントロールとは、この4大要素を意識した生活を送って、ストレスを解消していくことなのです。
ストレスコントロールについては多くの本が出版されていますので、自分に合うなと思ったものを購入して、参考にしていただければと思います。ちなみに私が心掛けているのは、毎日5分間のストレッチと近くの公園の散歩(約30分)です。これだけでも、かなりのストレスが解消できるのが実感できます。
一方、企業においても社員の健康保持・増進に力を入れる企業が増加しています。これは、社員が健康で生き生きと仕事をすることが企業の収益力を高め、この結果として企業価値を向上させるという考え方からきています。社員の健康保持・増進に取り組むことや積極的に投資することを健康経営と呼びます。
経済産業省と東京証券取引所は共同で、社員等の経営管理を戦略的に取り組む健康経営を実施する上場企業のなかから、とくにすぐれた取り組みを実践している企業を「健康経営銘柄」として毎年公表しています。直近の「健康経営銘柄2024」に選定された企業は27業種53社でした。
みなさんも企業を選ぶ際に、このような視点も参考にしていただけたらと思います。健康経営はSDGsの実践にもつながっています。それというのもSDGsの目標3に「すべての人に健康と福祉を」があるからなんですね。