就活の軸さがし(3)ドレスコードフリーの会社

2024.12.01

日本企業の服装自由化(ドレスコードフリー)の流れについて触れておきます。企業の服装自由化は20年以上前からIT企業を中心に一般化したのですが、とりわけ近年は企業風土や社風が保守的と言われていた銀行や建設など業種に関係なく採用されています。私の感触ですが、スタートアップ企業・ベンチャー企業や東証グロース上場企業ではほぼ100%がドレスコードフリー、東証スタンダードやプライム上場企業でも4~5割がドレスコードフリーを取り入れているとみています。

 

多くの企業がドレスコードフリーを取り入れるのにはいくつかの理由があります。具体的には、(1)堅苦しい雰囲気を嫌う優秀な人材を採用できる、(2)柔軟かつ新たなアイデアが創出できる、(3)新しいことにチャレンジしやすい環境づくりをアピールできる、(4)職場でのコミュニケーションが活性化する、(5)職場の自由で明るい雰囲気を醸成する、(6)会議で上司、部下の関係が薄まり意見が言いやすくなる、などの効果を期待しているのです。

 

加えて、(7)社員の身体的・精神的なストレスを軽減する、ことを服装自由化の目的とする企業も出てきました。前回のブログで取り上げた健康経営にもつながっているのです。ドレスコードフリーは企業価値の向上につながるのです。次では、ドレスコードフリーを取り入れた企業の事例をみてみましょう。

 

神鋼商事(東証プライム、神戸製鋼所系の専門商社)

服装自由化(ドレスコードフリー)による活力ある組織づくり・堅苦しさの払しょく・コミュニケーションの活性化

 

執務室内での服装自由化

神鋼商事では2020年10月1日より執務室内での服装自由化(ドレスコードフリー)をスタートしました。導入の目的は次の3つです。

1)生産性の向上:心地よく働けるスタイルで、斬新で柔軟な発想力を養います。

2)多様性の尊重(服装のダイバーシティ):個性を認め、オープンに意思疎通できる組織風土をつくります。

3)自立意識の醸成:自ら考え、状況に応じて判断する風土を育みます。

 

多様性を尊重し、活力ある組織を目指す

これまで服装については、2000年代にクールビズの導入、2019年には制服選択制、執務室内でのネクタイ着用の自由化の導入を進めてまいりました。今回の執務室内での服装自由化により『新しい世界・新しい時代・新しい価値』の創造に挑戦していく神鋼商事として、多様性を尊重し、活力ある組織づくり・堅苦しさの払しょく・コミュニケーションの活性化を推進してまいります。

 

また日立製作所(東証プライム)は採用活動におけるドレスコードフリーを表明しています。

「ドレスコードフリー採用」(選考時の服装自由)

  新卒採用活動において、学生の皆さんのリクルートスーツの着用を不要とします。面接官も自宅から面接に参加する際には、原則として自由な服装で参加します。

 

私なども仕事の関係で勤務先の日本経済大学が入居する渋谷駅直結の新築再開発大型オフィスビル「Shibuya Sakura Stage」のテナント企業を何社か訪問しています。これまで訪問したすべての企業がドレスコードフリーでした。私はスーツを着用(ドレスコードフォーマル)していましたので、かなり場違いな服装だったなと感じました。夏はTシャツの会社がほとんどだった印象です。

 

これからみなさんは、企業の説明会に参加したり採用面接に呼ばれたりすることでしょう。その際、会社から「服装は自由できてください」と指示があった場合はスーツを着用する必要はまったくありません。ビジネスカジュアルもしくは清潔感のある私服で大丈夫です。服装自由といわれてもスーツの方が無難だろうと思われるかもしれないですが、そのような心配はいりません。なお、説明会参加や面接時でのドレスコードに触れていない会社の場合は、採用担当者に確認するのがいいと思います。

 

ただ最終面接については(会社にもよりますが)、まだまだドレスコードフォーマルの会社が多いとみられます。よってリクルートスーツ(男性はジャケット、ネクタイ着用、長袖のワイシャツ、女性はジャケット着用)の準備はしておいてください。