就活の軸さがし(7)ベンチャー企業やスタートアップ企業で働きたい

2025.02.24

読者のみなさんのなかには、「既存の企業にはまったく魅力を感じない。できればベンチャー企業やスタートアップ企業で働く」ことを就活の軸にしておられる方もいるのではないでしょうか。大企業といっても、すでに終身雇用制度は崩壊しつつあるし、大きな組織の小さな歯車になって働くのは嫌だということでしょう。もちろん自分の強みや適性を踏まえての話ですが、近年はこうした学生が増えてきた印象を受けます。

 

そこで今回のブログでは、ベンチャーやスタートアップで働きたいというみなさんのために、そうした企業の探し方や働く上で知っておくべきことなどを説明しようと思います。

 

その前に一つ質問があります。みなさんはベンチャーとスタートアップの違いをご存じですか?これは当事者でなければ、なかなかの難問だと思います。感覚的には大半の方が「この2つはほとんど同じ」もしくは「スタートアップの方がアーリーステージなのかな」と思われるのではないでしょうか。

 

実は私もそのように考えていたのですが、調べてみたところこの二つには明らかな違いがあるのです。人材紹介大手(株)ビズリーチによれば、ベンチャーとスタートアップの大きな違いは、革新性があるかどうかだと言うことです。

 

ビズリーチのコラム(https://www.bizreach.jp/column/ctrt-no102/)では、ベンチャーは「持続的イノベーション」がポイントで、既存のビジネスモデルをベースとし、そこに独自の変化や工夫を加えて新たなサービスを生み出すと言います。逆にスタートアップは「破壊的イノベーション」がポイントで、今までの常識を壊して新たな価値観を生み出し、過去に事例のない新規ビジネスを展開すると言います。

 

スタートアップは、今までどの企業も手を付けていないかった革新的なアイデアを元にビジネスモデルが作られるため、最初は需要も認知もなく手探り状態でのスタートとなります。よってベンチャーは既にあるビジネスモデルに工夫を加えてサービスを作る、スタートアップは革新的なアイデアでこれまでになかった新しいサービスを作り出す企業ということです。

 

まだいくつかベンチャーとスタートアップの違いはあるのですが、このあたりにしておきましょう。次では就活で自分にマッチしそうなベンチャーやスターアップ企業を探すにはどうすればよいかを考えてみましょう。

 

ベンチャー企業については、シード(Seed)、アーリー(Early)、ミドル(Middle)、レイター(Later)という4つの成長ステージがあります。ミドルないしレイターステージの会社は新卒採用も積極的に行っています。ネットで「ベンチャー企業合同企業説明会」と検索すれば、リクナビやマイナビなどの大手だけでなくベンチャーキャピタルが主催する説明会などもありますのでぜひ参加するようにしてください。また、週刊東洋経済では毎年一回は「すごいベンチャー」などの特集を組むので、関心のあるベンチャーのHPの採用情報をチェックするのもいいでしょう。

 

一方、ベンチャー企業のシード、アーリーステージの企業やスタートアップ企業は少人数で運営しており、採用もオーナーとのつながり、あるいはビズリーチなど人材紹介会社を通した即戦力の中途採用が中心です。

 

ところが、そのような企業でも学生の有償型長期インターンシップを実施しているところは意外とあり、会社にマッチする人材であれば、そのまま採用といったケースもあるようです(私が訪問した渋谷サクラステージの会社もその一社でした)。スタートアップ企業の求人を探すには、大手人材会社よりもスタートアップの採用に特化したサイトがありますので、そうしたサイトをチェックしてみることをお薦めします。

 

ではベンチャーやスタートアップで働くにはどのような人が向いているのでしょうか。先ほど紹介したビズリーチのコラムでは、①主体性を持って仕事をやりたい、②好奇心に富み情報収集能力にたけている、③新たなビジネスに携わりたい、④その後に起業や独立を考えている、人がフィットするとしています。私も同感です。コツコツ積み上げるタイプや指示はきちっとこなすといったタイプの方はこのような業界には向いていないでしょう。

 

私の知人(かつて勤務していた会社の同僚)はみなさんが誰でもご存じの米系有名コーヒーチェーンの日本法人(1995年)を立ち上げた5人のなかの一人です。当時はこのコーヒーチェーンが日本で成功するのか懐疑的な見方も多くありました。そうしたなかでの一からの立ち上げですから、米国のビジネスモデルが存在しているとはいえ、ベンチャー企業で働くのと同じ感覚だったと思います。その後の急成長はみなさんご存じの通りです。

 

その知人は上記①~③の資質は当然のように兼ね備えているのですが、それらに加え「仕事をがむしゃらにやることができる」という強みを持っていました。その知人に話を伺ったところ「ビジネスが軌道に乗るまでは終電で帰宅し、始発で出勤するのが当たり前だった」「だからこそ銀座1号店のオープンとその成功はとくに印象に残っている」と言っていました。おそらくどのベンチャーやスタートアップ企業もハードワークさでは似たような感じでしょう。現在の働き方改革やワークライフバランスとは真逆です。しかし、それくらい仕事をがむしゃらにやらないとベンチャーやスタートアップは成功しないんだなと痛感したものです。

 

自分が会社の成長ストーリーに貢献するという経験はそう誰もができることではありません。外部環境の変化で一気に会社が吹き飛んでしまうリスクもあるでしょう。しかし、ベンチャーやスタートアップで働きたいと考えている学生のみなさんには(これからの日本のためにも)、ぜひチャレンジして欲しいと思います。