業界を知る 〜どのような業界があるのだろうか〜

2018.10.05

ご挨拶

 

皆様、日本経済大学東京渋谷キャンパス教授でキャリアサポートセンター長の西村尚純です。ご好評をいただいていた私のブログ「就職は俺に任せろ」はしばらく休載をしておりましたが、復刊いたします。読者の皆様には大変お待たせいたしましたが、今後も就活生の皆様を中心に、企業の人事担当者、人材関連企業関係者の皆様に向けてもお役に立つ情報を継続的に発信していく所存です。ご愛読のほど、何卒宜しくお願いいたします。

 

新たに始めるシリーズでは「業界を知る」というテーマで、業界研究を行ってみる。現代の日本にどのような業界があるかを調べていくことにしたい。業界とは同じビジネス領域で活動している企業の集まりとして捉えたものである。就活においては、企業研究と並び業界研究はとても重要な作業となる。業界の概要や動向を知ることで、個別企業についても理解が進むからである。

 

産業構造は日々急速に変化している。業界単位での歴史を振り返ると、これまで大きな主役の交代があった。さらに近年はITやスマートフォン、クラウドコンピューティングなどの技術の進歩がほぼすべての業界の将来に影響していると言えるだろう。

 

では世の中には、どのような業界が存在するのだろうか。まず業界は大きく二つに区分される、モノを作る業界(製造業)とモノを動かす業界(非製造業)である。

 

製造業には、自動車・輸送機器、電気機器、電子部品、機械、食料品、鉄鋼、医薬品、化粧品、化学、石油、繊維、紙パルプ、プラントエンジニアリング、住宅、土木・建設、などの業界がある。

 

一方、非製造業はさらに四つの区分で分類できる。(1)お金やモノを動かす業界…銀行、証券、保険、商社(2)モノを売る業界(小売業界)…百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、専門店(3)サービスを提供する業界…不動産、交通、運輸、外食、ホテル、旅行、人材サービス、教育、医療・福祉、警備(4)情報を発信する業界…新聞・テレビ、ソフトウェア・情報処理、通信・ネットワーク、などの業界がある。

 

これらは主要な業界以外にも、詳細に見ればさらに多くの業界がある。また今日ではIT化や経済のグローバル化が進展しており、上記の伝統的な業界分類では対応できなくなっていることも事実である。例えば、皆さんがよく知るアパレルのユニクロ(ファーストリテイリング)は小売業ではあるが、中国やバングラデシュで自社製品を製造もしているので製造小売業(SPA)という業界の垣根を超えたポジションに位置している。

 

家具業界で成長を続けるニトリもインドネシアやベトナムで商品を製造しているのでSPAといえることに加え、自前で物流(配送)も行っているためSPAを超えた製造小売物流業と表現しても間違いではあるまい。

 

さらに、近年はインバウンド(訪日外国人)やフィンテック(ファイナンスとテクノロジーを組み合わせた造語)業界など複数の業界が組み合わさって構成される新たな業界もある。例えばインバウンド業界は、百貨店、コンビニ、ドラッグストア、ホテル、家電量販店、免税店、旅行、レジャーなど様々な業界で構成されており、現実的には単一業界とは言えない。

 

本ブログでは、主要業界やその業界に属する企業の動向に触れるとともに、可能であれば新しい業界の解説もしてみたいと考えている。次回は業界研究に入る前の段階として情報収集の仕方をチェックする予定である。ご期待ください。