面接・会社説明会でのドレスコード(特別編)

2021.08.26

昨年からのコロナ禍で就活生のみなさんはオンライン企業説明会あるいはオンライン面接が一般化したので、戸惑われた方もおられたとお察しする。とくにオンライン面接では、画面での映り映えや背景をどうするかなどテクニカルなところで気を遣ったり、パソコンの通信環境を整備したりと大変だったのではなかろうか。

 

今年の就活については、コロナの流行が続いていることから、昨年に続きオンラインでの企業説明会や面接が主流となっているが、最終面接に限っては対面でという会社が多いようだ。やはり対面でないと正確な人物評価ができない、採用すべき学生を見極められないということだろう。

 

キャリアサポートセンター長として学生の就職支援に携わっていると、毎年のように就活生から「説明会や面接で何を着ればいいのでしょうか」という質問を受ける。そこで今回は特別編として、就活での服装について考えてみたい。

 

数年前までの就活と言えば、リクルートスーツが当たり前だった。みなさんも30℃を超える真夏の暑い日にも汗をかきながらリクルートスーツ、ネクタイで街を歩く就活生(先輩)の姿を見たことがあるだろう。ところがここにきて、企業のドレスコード(服装規定)に対する考え方も大きく変化してきた。この点については後ほど詳細に見ていくことにして、まずはシチュエーションごとに最適な服装について検討しよう。

 

【企業説明会】(オンライン、対面共通)

<スーツ着用>

企業説明会でドレスコードフォーマルとする企業はクールビスが普及した今では少数派ではないか。もちろん、そこは社風の違いであり、説明会からキッチリとしている学生を採用したいという企業も多くある。スーツ着用の指示がある場合は、当たり前だがリクルートスーツ、ネクタイ着用である。

 

<クールビス可>

クールビス可の場合は基本リクルートスーツでネクタイなし。クールビスと指示があるのに、あえてネクタイを付ける必要はない。ワイシャツについては白地のボタンダウン半袖で構わないだろう。説明会の場では上着を着るからである。

 

<服装自由>

服装自由の場合は、スーツを着る必要はない。いわゆるビジネスカジュアルでいいだろう。ジャケットとチノパンツ、ワイシャツの色は落ち着いた色ならカラーでも問題ない。ここで注意すべきなのは、ジーンズなど普段着のようなファッションである。服装自由と言っても、さすがにこれはまずい。採用担当者から常識がない学生と見られるだろう。

 

<服装についての記載なし>

みなさんが悩むのがこのパターンだろう。私がお薦めするのはクールビスである。ただし、カバンにネクタイを準備しておいて、周りの就活生の状況を見て必要と判断すればトイレ等でネクタイを着用するのがよい。

 

【面接】(オンライン、対面共通)

面接ではクールビスという指定がない限り、男性女性問わずリクルートスーツで臨むべきだ。盛夏や残暑厳しいときにリクルートスーツはつらいところだが、面接は会社の採用担当(最終面接なら経営者、役員)との真剣勝負だ。面接ではスーツでばっちり決めて、内定を獲得して欲しい。

 

せっかくの機会なので、参考までに企業のドレスコードフリー(服装自由化)、あるいはオフィスの服装カジュアル化の流れについて触れておく。企業でのドレスコードフリーは10年以上前からIT企業で一般化し、ここ数年は企業風土や社風が保守的と言われていた銀行や建設など幅広い業種で採用されている。2019年9月に本店勤務の行員に対してドレスコードを廃止した三井住友銀行が象徴的な事例として挙げられる。

 

ドレスコードフリーの目的や効果については、(1)優秀な人材が採用できる、ことに加え、(2)柔軟かつ新たなアイデアの創出、(3)新しいことにチャレンジしやすい環境づくり、(4)職場でのコミュニケーションの活性化、(5)職場の自由で明るい雰囲気を醸成する、などが考えられる。加えて、最近では(6)社員の身体的・精神的なストレスを軽減すると強調する企業も出てきた。

 

とくに(6)については、服装の自由化が社員の健康につながり、そのような健康経営(社員の健康維持・増進に取り組むこと)が企業価値向上につながるという考え方である。別の言い方をすれば、健康経営はSDGsの実践にもつながっているのだ。みなさんも就職企業を検討する際に、その会社のドレスコードをチェックするのもいいだろう。SDGs、ESGあるいは健康経営に積極的に取り組んでいる企業かどうかの目安になるからである。